強くなりました、日本ラグビー
台風一過の日本戦
日曜日の横浜で予定されていたラグビーの日本戦、台風の予想と重なり、開催がどうなるかギリギリまでわからなかった。
勿論、こんなに大きな被害の出た台風なのだから、交通網やグランド、周辺環境の状態によっては中止も充分あり得ると思っていた。
実際、10月12日のニュージランド対イタリア(豊田) イングランド対フランス(横浜) 13日のナミビア対カナダ(釜石)の3試合が中止になった。
これは台風の上陸した日とコース、被害の出た地域を見れば当然だと思う。
もちろん、ワールドカップに備えてきたチームだってできれば戦いたかったと思う。 イングランドとフランスは決勝トーナメントの出場がすでに決まっていたのだが、それでも戦って勝ち点やボーナスポイントなど積み上げたかったはずだ。
ナミビアとカナダはそれぞれ消化試合だったとはいうものの、試合をするのが釜石という東日本大震災の被災地であり、ラグビーの街 釜石の復興をアピールしたかったと思う。 それぞれの国、開催地にとっても残念だが、中止理由が勢力の強い大型台風の襲来とあれば仕方ない。 選手達や観客の安全にもかかわる事だ。
ただ、13日の夜の試合予定だった日本とスコットランド戦は6時間前までに
試合の可否をアナウンスするとなっていた。 大会運営側も可能なら開催したいのは当然だ。 なのにスコットランドは、「もし中止となったら法的措置もスコットランドとしては考えてる。我々は雪の中でも戦う」と半分怒りをぶつけるような会見を見て悲しくなった。 そもそも、雪じゃなくて、台風だし。
雪くらいならどこの国でも戦うし。
こんな被害が出た台風を見てどう思ったんだろうか、スコットランドチームは。
わかるけどね、スコットランドはこのままなら予選敗退となる3位だったから、決勝に進むためには、日本を倒すしか方法はなかったからだ。
これまでの日本とスコットランドの対戦成績を見たら勝率では圧倒的にスコットランドが有利だったので、絶対勝てると思っていたのもわかる。
でも、ここに来るまでに決勝への進出を決めきれていなかったのも、スコットランドだ。
こんな言い方はしたくないけど、日本チームを甘く見過ぎていたと思う。
試合前に選手と手をつないで入場してくるエスコートキッズと呼ばれる子供達がいるが、日本の主将のリーチ・マイケルと手を繋いだ男の子が言ったそうだ。
「スコットランドをボコってください」と。
「約束する、ボコってくるよ」
笑顔で少年に約束したそうだ。
夫婦で試合観戦しながらピザをつまむ日曜日の夜
多くの被災者へ思いを馳せるでもなく自分たちの都合ばかりの会見を見たので、ぜひとも日本には勝ってスコットランドを黙らせてほしいと思っていた。
リーチ・マイケルは、今回大きな被害が出て大変な状況にある人達がたくさんいる中で今の自分たちに出来ることは何だろうとミーティングで話し合ったという。
全力で戦い、勝って明るいニュースで少しでも元気が届けられたら嬉しい、とチームがみんな言ったという。
試合前、選手達が台風で命を落とされた方々へ黙祷をささげた。
日本代表チームは色々な期待とプレッシャーを背負って戦ってくれたと思う。
結果はもうみんな知ってる通り、勝利してプールAで1位通過を決めた。
そしてスコットランドに「日本は強かった」と言わせたのだ。
勝利ばかりが全てではないけれど、時と相手によっては、戦って強さを示すことで
伝わる事があるのだと思う。
レイモンド・チャンドラーの有名な小説『プレイバック』の中で探偵フィリップ・マーロウの有名なセリフを思い出してしまった。
「タフでなければ生きて行けない、優しくなければ生きる資格がない」
強くて優しい男たち、カッコいいと思う。
試合に夢中になりすぎてピザはすっかり冷めてしまったけど、レンジで温めなおして、「いい試合だったね」と食べました。
それにしても少したくさん買いすぎて翌日もまた温めてたべました。